1982年に着工し、2005年にグランドオープンしたモエレ沼公園は、20世紀を代表する彫刻家のひとりであるイサム・ノグチ(1904〜1988)のデザインによる、「全体をひとつの彫刻作品とする」札幌市の総合公園です。
この地球上につくられた、まさに「大地の彫刻」としてのこのモエレ沼公園を、成層圏気球によって宇宙とつなぎます。さらにテレコーディングと名付けた、宇宙からのコードを直接操作することによる、実験的な遠隔即興パフォーマンスを行います。
未知なる宇宙の知性がモエレ沼公園を発見したら、いったいどんなメッセージを地球に向けて送信するのでしょうか。中央に位置する送信アンテナは、宇宙の共通言語としての数学から導かれる4次元プラトン立体(正24胞体)を、一方の受信アンテナはモエレ沼公園を宇宙に拡張した気球の飛行軌跡をモチーフとしています。会場は、送信メッセージとシンクロした可視光と、巨大な鉱石検波ラジオで電波から音波に変換された受信メッセージや、銀河や太陽からの電波音で満たされています。遥かなる時空、そして人間とは異なる知性を想像しながら、電磁波の彫刻としてのアンテナと対峙することで、芸術の未来の可能性を体感できます。